通常の使用中にタッチ操作が効かなくなり、ご来店いただきましたが途中で端末を落とし、ガラスが割れてしまいました。
最初はディスプレイの経年劣化が原因かと思われましたが、内部を確認したところ、過去に水没した形跡が見つかりました。
水が残っていなかったため、水没はかなり前に起こったと考えられます。また、大きな腐食は見られなかったため、お風呂の水蒸気や雨で少量の水が侵入した可能性があります。ただし正確な原因はお客様に確認する必要があります。
水没の痕跡があったので基板にもダメージがあると考えられます。まずディスプレイを剥がして基板の状態を確認したところ、コンデンサやフィルターに錆が見つかりました。
錆びた部分を洗浄し、新しいディスプレイを仮付けして起動し、タッチ機能は改善されませんでした。
おそらく、基板上のコンデンサやICチップが故障している可能性があります。水没した基板は、他の部分にもダメージが広がっている場合が多く、今回は2箇所のショートが確認されました。
ドックコネクター(充電口)近くはタッチ回路が集中しており、目立つ破損があったため、故障箇所を特定しやすいです。ショートした箇所を修復し、再度テストしたところ、タッチ操作が可能になりました。
水没の影響で他の機能もチェックが必要です。すべての機能を確認した結果、face IDが使用できないことが分かりました。face IDはAppleのセキュリティがかかっているため、壊れると修理がほぼ不可能です。
その他の機能に問題がなかったため、端末を閉じて圧着し、最終的な動作確認を行いました。現時点では問題がありませんが、水没によるダメージは突然再発することもあるため、端末の状態と注意事項をお客様にお伝えして返却しました。
iPadは防水機能がないため、水没による修理が頻繁に発生します。知らないうちに水没しているケースも多いため、使用環境には十分ご注意ください。
当店では、店頭および郵送での修理にも対応しておりますので、ぜひご利用ください。